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海外で絶賛された日本のドラマは…? 世界進出に成功した稀有な名作5選。まさに快挙…グローバルで愛される作品をセレクト

text by 寺島武志

国外ではあまり認知されているイメージのない日本のドラマだが、日本国内以上に高い人気や評価を獲得した作品も存在するようだ。中には海外での視聴率が90%に達した日本の朝ドラや、リメイク版がハリウッド映画化されるほどの出世を果たした作品も。今回は、そんな海外でも評価されている日本のドラマ作品をご紹介する。(文・寺島武志)

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世界各国がリメイク版を製作

『Mother』

芦田愛菜
芦田愛菜Getty Images

放送期間:2010年4月14日~6月23日
放送時間:水曜22:00~22:54
放送局:日本テレビ系
脚本:坂元裕二
最高視聴率:16.3%
キャスト:松雪泰子、芦田愛菜、山本耕史、尾野真千子、高畑淳子、酒井若菜、倉科カナ、綾野剛、田中裕子

【作品内容】

自身も母親に捨てられ、児童養護施設で育ち、北海道室蘭市で小学校の教諭をしていた鈴原奈緒(松雪泰子)は、教え子の道木怜南(芦田愛菜)が極寒の中でゴミ袋に入れられ、捨てられているのを発見する。

それを見た奈緒は怜南の母親になることを決意し、彼女を誘拐し、母子になりすまして逃避行する。奈緒は怜南に「継美」と名付け、女性としても人間としても成長していくが、最後には奈緒が逮捕されてしまう。

【注目ポイント】

脚本の坂元裕二は1991年、当時23歳で脚本を担当した『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)が伝説的ヒット作となり、一躍、ヒットメーカーとして数々のトレンディードラマを手掛けるが、1996年に突然、「テレビが嫌になった」と、一時的に休業。

2年後に復帰した後は、大きく作風を転換させ、社会問題を扱う作品も手掛けるようになり、本作はその中でも代表的な作品の1つだ。オリジナルストーリーにより、「母性」をテーマに、様々な視点から「母親とは何か」という問いを突き付けている。

本作はまずトルコで『Anne(アンネ)』の名でリメイク版が製作され、2016年10月からの放送では大反響を呼ぶ。日本版は全11話だったのに対し、トルコ版は全33話で、世界31か国・地域以上で放送される人気ぶりだった。

加えて、韓国、ウクライナ、タイ、中国、フランス、スペインでリメイク版が製作され、日本発ドラマの脚本の完成度の高さを証明してみせた。「母性」という普遍的なテーマを劇的な展開で描いたストーリーが、洋の東西を問わず受け入れられたことを示した。

この出来事は、日本のテレビ業界を活気付けた。それまで、日本のテレビコンテンツで海外に売れるものといえばアニメと相場は決まっていたが、この成功を機に、海外へのドラマの売り込みにも注力していくことになる。

そして2013年に放送された『Woman』(日本テレビ系)でも、『Mother』と同様に海外でリメイク版が製作され、世界25か国以上に世界展開された。

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