ディズニーが作品賞受賞に最も近づいたのは?
ディズニーは、作品賞を受賞したことはないが、4度ノミネートされている。最初のノミネートは1960年代半ばの映画『メリー・ポピンズ』(1964)であり、本作は作品賞を含む13部門にノミネートされ、主演女優賞、編集賞、作曲賞、視覚効果賞、歌曲賞の5部門を受賞した。
しかしその後、作品賞ノミネートのチャンスは何十年もつかめずにいた。映画『美女と野獣』(1991)でノミネート作品に始まり、映画『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)と、映画『トイ・ストーリー3』(2010)を最後に、アニメーション作品は作品賞にノミネートされていない。
その他では、ディズニーの傘下にあるマーベル・スタジオの映画『ブラックパンサー』(2018)や、タッチストーン・ピクチャーズの映画『クイズ・ショウ』(1994)など、作品賞にノミネートされた作品をいくつか製作している。
また、長年に渡りディズニー(ウォルト・ディズニー・ピクチャーズの親会社)は、買収したスタジオのおかげで作品賞を受賞した作品の所有権を主張してきた。中でも特筆すべき作品が映画『ノマドランド』(2020)だ。
ディズニーの傘下で公開を迎えたサーチライトの唯一の作品賞受賞作である映画『ノマドランド』。本作は、サーチライトが本作の全米配給権を獲得した後に、ディズニーがサーチライトの買収を行ったため、正確にはディズニーが配給を行った映画と断言することが難しい。
こうした判別が微妙な作品はあれど、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが作品賞を受賞作を自ら世に送り出したことは一度もない。オスカー向きの作品を作る制作スタジオを買収したり、オスカーキャンペーンに莫大な費用をかけていた理由の説明にもなるだろう。
ディズニーはアカデミー賞を放映するネットワークを所有しているにも関わらす、そのアカデミー賞こそがディズニーの越えることのできないポップカルチャーの大きな壁となっている。
現在ディズニーの幹部が、当面は続編やフランチャイズに注力することを強調していることを考えると、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズがすぐに作品賞の栄光を手にするような映画を製作することは難しいだろう。
しかしアニメ作品は、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』(2023)や、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)などの大ヒットもあり、今後も大きく注目される存在なのは間違いない。ディズニーが作品賞を受賞する頃には、アニメ界の盛り上がりは現代のそれよりも盛大なものとなっていることだろう。
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