サンウに裏切られて散った心優しき正義漢
●アリ・アブドゥル(トリパティ・アヌファム)→満島真之介
『イカゲーム』の作中最大の悲劇―。それは、アリの脱落だろう。
パキスタンからの出稼ぎ労働者であるアリは、職場である工場の社長と給料不払いの件でもみ合いになり、社長に重傷を負わせてしまう。そして、彼は、家族をパキスタンに帰国させた後、イカゲームへの参加を決意する。
正義漢で優しさあふれるアリは、第1ゲーム「だるまさんがころんだ」で転倒し、脱落しそうになるギフンを助けている。また、第3ゲーム「綱引き」では、持ち前の腕力で綱引きのしんがりを務め、チームの勝利に大きく貢献している。
そんな彼が悲劇に見舞われるのは、サンウと対戦した第4ゲーム「ビー玉遊び」だ。お互いにビー玉を渡され、相手のビー玉を全て獲得できれば勝ち残れるというこのゲームでは、途中までアリ優勢でゲームが進むものの、途中でサンウに騙され、ビー玉が入った袋と、石が入った袋を取り替えられてしまう。サンウに裏切られ、射殺される彼の無念の顔は、多くの視聴者の心に響くはずだ。
アリ役を演じるのは、韓国を拠点とするインド人俳優トリパティ・アヌファム。演劇出身の俳優で、内田けんじ監督のコメディ『鍵泥棒のメソッド』(2012)が原案の『LUCK-KEY/ラッキー』(2016年)にも出演している。
正直国内には、海外の人も含めインド系の俳優は少ない。代わりに、熱血漢の印象がある満島真之介はどうだろうか。同じNetflixドラマ『全裸監督』(2019)でも、仲間思いの熱い男を演じている満島。国籍は異なるが、アリを熱心に演じてくれるに違いない。