飄々とゲームをこなす老人、その正体は…?
●オ・イルナム(オ・ヨンス)→柄本明
『イカゲーム』には、1人、明らかに異質な登場人物がいる。それが、参加番号1番のオ・イルナムだ。
ギフンをはじめ、多くの参加者が生死をかけて必死にゲームに挑む中、彼一人だけが飄々とゲームを楽しんでいるように思える。しかも、彼だけがお金が必要な理由が語られず、ギフンに参加した動機を聞かれた際には、「脳腫瘍で老い先短いから参加した」というなんとも要領を得ない動機を口にする。
それだけではない。4話の「特別ゲーム」(参加者による深夜の乱闘騒ぎ)では、イルナムが一人ベッドの上に乗り、「怖くてたまらない、やめてくれ」と叫ぶと、ただちにゲームが終了する。一体かれは何者なのか。
…もうネタバレしてもよいだろう。実は彼こそがゲームの主催者であり、本作の黒幕なのだ。現に作中では、仮面をつけた主催者の顔が映るが、よくよくみると顎のあたりがイルナムのそれだ。
イルナムを演じたオ・ヨンスは、1979年に韓国で最も権威ある東亜演劇賞の男子演技賞、1994年に百想芸術大賞の男子演技賞、2000年に韓国演劇協会の演技賞などを受賞した劇団出身の俳優で、『春夏秋冬そして春』(2003)や、ドラマ『善徳女王』(2009)『美賊イルジメ伝』(2009)などに出演。テレビドラマへの出演はそれほど多くなく、知る人ぞ知る俳優だったが、本作をきっかけにブレイクした。
もし『イカゲーム』を日本でリメイクするなら、柄本明がいいだろう。オ・ヨンス同様劇団の出身で、『座頭市』(2003)では、黒幕の飲み屋のオヤジを演じた柄本。イルナム役もきっと似合うはずだ。