飛行機事故でメンバーの大半が死去…。
強豪クラブが見舞われた悲劇と復活劇
『わがチーム、墜落事故からの復活』(2018)
原題:Nossa Chape
製作国:ブラジル
監督:ジェフ&マイケル・ジンバリスト
【作品内容】
2016年11月、ブラジル1部リーグ・シャペコエンセの主力選手と首脳陣らを乗せた飛行機が、南米クラブのカップ戦であるコパ・スダメリカーナの決勝第1戦へ向かう途中に墜落した。小さな街のクラブが初めてビッグタイトル獲得に王手をかけた最中に起きた、乗客77名中71名が死亡する大惨事だった。
奇跡的に生還した3選手を除いて、シャペコエンセは殆どの選手とチームスタッフを失うことになる。クラブを襲った悲劇とその後を追ったドキュメンタリーであり、チームの復活劇を追った内容となっている。
葬儀の翌日から、シャペコエンセは新シーズン開幕へ向けてゼロからの再出発を余儀なくされるが、選手はチーム再建のプレッシャーに押し潰され、サポーターも旧チームへの愛着と新チームに対する過度な期待の狭間で葛藤し、ピッチの内外で亀裂が走る。
しかし、彼らは再びそのアイデンティティを見つめ直し、一致団結。そして奇跡の快進撃が始まり、2017年にはクラブ史上最高順位の成績を収めるまでを描いている。
同作はドキュメンタリーではあるものの、決して感動物語に終始することなく、基本的にはインタビューと回想映像で構成され、淡々とした展開で進んでいく。
映像の悲愴さもさることながら、責任のなすりつけ合いなど、言葉の応酬が凄まじく、綺麗事だけではないリアルな側面も描かれている。感動を呼ぶというよりも、復活の裏側で忘れ去られそうなことを遺族目線で繊細に表現している作品だ。