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信州ダービーまでの1年間に密着した
Jリーグ好き必見のドキュメンタリー

『クラシコ』(2010)


出典:Amazon

製作国:日本
監督:樋本淳
出演者:安めぐみ(ナレーション)、AC長野パルセイロ、松本山雅FC

【作品内容】
一般的に「クラシコ」とは、スペインにおける「レアルマドリードvsバルセロナ」、あるいはアルゼンチンにおける「リーベルプレートvsボカジュニアーズ」といった歴史的背景を帯びたビッグクラブ同士の対戦を称する。しかし、本作で描かれる「クラシコ」は、当時、Jリーグの下部にある「JFL」、そのさらに下に位置づけられる「北信越地域リーグ」時代の“AC長野パルセイロ”VS“松本山雅”を題材にしたドキュメンタリーだ。

松本山雅FCは長野県各市をホームグラウンドとするJリーグに加盟するプロサッカークラブGetty Images

明治維新後の廃藩置県で「長野県」が設けられた際に、10を超える藩に分かれていた長野県は、それぞれが独自の風土をはぐくんできた。南信の代表・松本市の、北信の中心地・長野市への対抗意識の強さは並大抵ではない。どちらに県庁を置くかで猛烈な争いが繰り広げられ、結局、長野市に決まった後も、松本市の人たちには、その恨みが今なお根強く残っているといわれる。

同じ長野県内を本拠地としながらも、そのような歴史的背景があり、ライバル関係にあるAC長野パルセイロと松本山雅との対戦を「クラシコ」と呼び、信州ダービーでの決戦が行われるまでの選手とサポーターたちの1年間を追う。

同作は、松本山雅のサポーター目線で、この「クラシコ」を描いている。サポーターのみならず、クラブスタッフのコメントから、松本山雅が自分たちや松本に住まう人々にとってどんな存在なのかを語っている。そして、このライバル関係は、いまではJリーグに舞台を移し、1万6000人もの観客動員を誇っている。日本の、しかも3部リーグでの数字だ。

Jリーグが好きな人や愛する地元クラブを応援する人にとっては、共感できる熱量のこもった映画であり、同時にJリーグの理念を体現した作品といえるだろう。

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