洞窟に取り残されたサッカー少年たちの命運を描くスリリングな一作
『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』(2020)
製作国:タイ・アイルランド
原題:The Cave
監督:トム・ウォーラー
キャスト:ジム・ウォーニー、エクワット・ニラトボラパンヤー、ノパドン・ニヨムカ
【作品内容】
2018年、タイ・チェンライのタムルアン洞窟が豪雨のため、取り残されたサッカーチームの少年たちが奇跡的に助け出され、全世界でニュースになった水難事故を描いた作品。厳密に言うとドキュメンタリー作品ではないが、主役のレスキューダイバー役は本人が演じており、作品に無類のリアリティを与えている。
カメラワークが抜群で、リアルさがあり、大げさな誇張もなく、ストーリー展開にも緩慢さがない。タイ当局の“お役所体質”も描かれており、チクリと風刺しているようにも感じる。また、タイならではのお国柄なのか、お祈りや儀式のシーンも豊富に挿入されているのもポイント。
救助した側の視点で製作されているため、感動の押し付けもなく、“記録映画”としても十分な役割を果たしている作品と言える。ただ、洞窟の中に閉じ込められた少年たちとコーチがどういう状況で乗り越えたのかといった視点がやや見えにくい。そのため、外側から救出の方法、見守る側を描いているため、ドラマ性はあまりない。
しかしながら、タイ国民や、ニュースを見た世界中の人々が、思いを一つにしていく様子は、この作品で改めて感じることができる。世界が一つになっていく姿はやはり美しい。
残念ながら犠牲者を出てしまったものの、少年たちが全員、生還できた事は奇跡であり、ドキュメンタリー映画としても完成された作品といえる。
(文・寺島武志)
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