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これはヤバい…賛否を巻き起こした「有名人声優」は? 棒読み演技が批判を浴びた映画5選。ファン困惑の配役をセレクト

text by 寺島武志

映画は様々な要素が絡み合って一本の作品になる。そのどれが欠けても成立しないのだ。しかし残念なことに、たった一つのミスで台無しになってしまう作品が存在する。中でも映画を形作る俳優や声優は、作品の良し悪しを大きく左右する。そこで今回は、芸能人が声優を務めて失敗した映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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レンタルショップのPOPにいじられる

篠田麻里子 『TIME/タイム』(2012)

篠田麻里子
篠田麻里子Getty Images

上映時間:109分
原題:In Time
製作国:アメリカ
監督・脚本:アンドリュー・ニコル
キャスト(吹き替え):ジャスティン・ティンバーレイク(浪川大輔)、アマンダ・アマンダ・サイフリッド(篠田麻里子)、キリアン・マーフィー(内田夕夜)、ビンセント・カーシーザー(緑川光)、オリビア・ワイルド(魏涼子)、アレックス・ペティファー(杉山大)、ジョニー・ガレッキ(明平鉄平)、マット・ボマー(小松史法)

【作品内容】

人類が老化を克服した近未来。人は25歳で成長を止め、体内時計の残り時間によって余命が設定されていた。

裕福な者が永遠の命を得る一方、貧しき者には早すぎる死が待ち受ける世界。そんな不合理に直面した貧しい青年は、社会を支配するシステムに立ち向かおうとして、ある大富豪の娘と出会う。

アンドリュー・ニコルが監督と脚本を兼ねた、貧富による寿命の格差をなくそうと奔走する男女を描いたSFアクション作品。

【注目ポイント】

当時、AKB48の“初代神7”として、卒業までその座を明け渡すことはなかった篠田麻里子がヒロインのシルビア・ワイス役でハリウッド映画の日本語吹き替えに初挑戦している。

当然ながら、多忙を極めていた中での声優挑戦だった。同時期にフジテレビの月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(2011)に出演。さらに、『犬とあなたの物語 いぬのえいが』(2011)で映画初出演するなど、俳優業を本格化していたが、本作の吹き替えに関しては、その忙しさが言い訳にならないほどの散々な評価を受けてしまう。

実際、彼女以外の吹き替えは「本業」の声優であり、その稚拙さが目立ち、ついにはレンタルDVDショップのポップに「マリコ様の吹き替えが最悪」と書かれる始末。

米国での評価が高く、日本国内での興行収入も18億2,000万円のヒット作だっただけに、余計にその悪評がクローズアップされてしまったのは、彼女にとっては不運だった。

しかしながら、同じく神7のメンバーだった前田敦子と大島優子の後を追うように、映画やドラマに出演を続け、女優業で着実に実績を積んでいる彼女。

先だって終了した鈴木おさむの脚本引退作『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(2023、テレビ朝日系)に出演し、不倫に走る悪妻を、濡れ場も辞さない体当たりの芝居で務めてみせ、ファンを驚かせると同時に、演技の幅を大きく広げた。

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