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世界中で使われている日本発の映画技術

第95回アカデミー賞
第95回アカデミー賞授賞式の様子Getty Images

日本企業が存在感を発揮できるアカデミー科学技術賞だが、どのようなプロセスで選ばれるのだろうか。

まず表彰の対象になるものは、装置、方法、公式、発明、発見など。他の発明を映画にも使っている場合は、その大部分が映画に特化されている必要がある。

選考には各分野の専門家が当たる。そして、映画業界における新たな技術やツールが登場すると、その関係者に連絡が入って情報提供が求められる。

ただ、長期的に映画業界に影響を与えている技術に授与される賞であることから、評価までに時間がかかる。アカデミー賞のように、受賞技術を代表作と合わせて紹介できないのは、これが理由だ。

なお、日本企業で科学技術賞を受賞したのは、この記事で紹介した3社に加え、IMAGICAやソニー、ディスプレイ装置専業メーカーのEIZOがあることを書き記しておく。

映画を支えるテクノロジーと聞くと、撮影カメラやクレーン、VFXが思い浮かぶが、映画産業という大きなくくりで考えると、発案から製作、映画館上映、そして上映し終わった作品の保存までがセットであり、そこには多くの技術が関わっている。

次に映画館に行くときは、俳優らのセリフの聞き取りやすさや、画面に映し出される「深い黒色」に注目してほしい。その音声は三研マイクロホン株式会社のピンマイクが拾った音かもしれないし、鮮やかで深い黒は日亜化学工業のレーザーが作っているのかもしれない。その可能性をわかった上で鑑賞すると、映画がもっと楽しく感じられるだろう。

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