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センセーショナルな内容で知られる伝説の青春映画

『台風クラブ』(1985)

映画『台風クラブ』イラスト:naomi.k
映画台風クラブイラストnaomik

監督:相米慎二
脚本:加藤祐司
出演:三上祐一、紅林茂、松永敏行、工藤夕貴、大西結花、三浦友和

【作品内容】

東京にある中学校を舞台に、台風の接近をきっかけに、やり場のない感情をたかぶらせて、やがて爆発させていく中学生たちの姿描いた青春ドラマ。

【注目ポイント】

長谷川和彦監督が当時20代~30代の若手監督集めて1982年結成した製作者集団“ディレクターズ・カンパニー”。そこには根岸吉太郎、大森一樹、井筒和幸、高橋伴明、石井聰亙(岳龍)、池田敏春、黒沢清、そして1981年に薬師丸ひろ子主演で『セーラー服と機関銃』をヒットさせたばかりの相米慎二がいた。

そんな相米慎二がディレクターズ・カンパニー製作で撮ったのがこの『台風クラブ』。記念すべき、第一回東京国際映画祭のヤングシナリオ部門受賞作品でもある。

当時アイドル的な立ち位置に居た工藤夕貴や大西結花、さらには三浦友和など豪華キャストが揃っているものの、内容は過激そのもの。大人も子供も、台風上陸をきっかけに何か吹っ切れてしまったような人物ばかりが登場する。

中学生同士の過激な暴力シーン(理科の実験中に男子生徒が意中の女子生徒の背中に硫酸をかけて火傷させる)、男女問わずして展開されるセクシャルなシーン(夜の体育館で生徒たちが下着姿になって踊り狂う)など、当時としてもかなり問題含みのシーンが多い。

しかも本当に当時18歳未満のティーンエージャー世代の役者を使っているのだから、就労関連の法律にいくつも抵触しそうな内容だ。それでも、第一回東京国際映画祭の審査委員長であったイタリアの巨匠、ベルナルド・ベルトルッチ(『ラスト・エンペラー』など)が絶賛するなど、公開当時から現在に至るまで作品は高く評価されており、2023年には4Kレストア版が上映された。

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