今、最も演技が上手い30代俳優は? 圧巻の芝居で魅せるカリスマ5選。日本映画界を牽引する天才をセレクト&魅力を深掘り解説
我々の心に残る一作の映画。そこにはいつも、洗練された技術を持つ俳優たちがいる。彼らの芝居は、大勢の観客の生きる希望となり、羨望の眼差しを集める。なぜか惹きつけられる彼らの魅力はどこから来るのだろうか? 今回は、今最も演技が上手い30代の俳優を5人セレクトして、おすすめの映画と併せてご紹介する。(文・野原まりこ)
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監督に愛される俳優
●池松壮亮
もはや彼の右に出る者はいないといっても過言ではない俳優・池松壮亮。
池松は10歳の頃、劇団四季『ライオン・キング』オーディションで見事ヤングシンバ役を射止め、俳優デビューを飾るという天性の才能の持ち主だ。
その後、トム・クルーズ主演の映画『ラスト サムライ』でハリウッドに進出した話はもはや有名なエピソード。
そしてどんな映画でも結果を残し、多くの映画監督からのラブコールが絶えない俳優となった。日本大学藝術学部映画学科監督コース卒業であり、作り手の立場に立って、役をクリエイトできるという点も愛される所以だろう。
そんな池松が、監督から愛されているということを証明するエピソード付きの一本を紹介しよう。
●池松壮亮の演技を堪能するためのお勧めの一本
『紙の月』(2014)
銀行に勤めている梅澤梨花(宮沢りえ)は、二人暮らしの夫との冷めた関係に悩んでいた。そんなある日、年下の大学生・光太(池松壮亮)と出会い、不倫関係になってしまう。
そのうち梨花は、光太と過ごすために顧客の預金に手をつけてしまう…。
平凡な会社員が恋に溺れ、巨額の横領を繰り返し、破滅へと向かっていくというハードな内容となっている。
宮沢りえが主演を務める本作で、池松は宮沢演じる梨花の不倫相手の大学生・光太を演じる。
実は光太役のキャスティングは難航していたようだ。そこへ本作の監督でもある吉田大八監督と、舞台『ぬるい毒』で共に過ごした池松に白羽の矢が立った。
吉田監督は池松を「純粋で、色気があって、残酷な光太を、今の池松君で見たかったんです」と語っている。
監督が賞賛する池松の本作での働きは「宮沢りえが振り回されるのもわかるな〜」という感想だ。脳をバカにさせるほど、ピュアでエロくてたまらない雰囲気を醸し出している。
観客のみならず、数々の映画監督までをも虜にする池松壮亮。『紙の月』はぜひ観てほしい一本だ。