菅田将暉が負けを認めた俳優
●仲野太賀
俳優・中野英雄を父に持ち、13歳の頃に芸能界入りを果たした仲野太賀は、自然体な雰囲気とナチュラルな芝居が魅力の俳優だ。
そのプレーンな佇まいでどんな役をもこなす仲野だが、同年代の俳優として第一線で活躍する菅田将暉も、仲野の俳優としての演技力の高さを評価し「負けた」と感じているというエピソードがある。
菅田が2022年9月11日放送のTBS『日曜日の初耳学』に出演した際に、TBSドラマ『ブラックボード~時代と戦った教師たち』(2012)で仲野と共演したところ、戦歌を歌わなければいけないシーンで周囲の俳優が苦戦する中、仲野だけが完璧に戦争孤児としてそこに存在していたというのだ。
ライバルであるはずの俳優に負けを認めさせるほどの演技力を持つ仲野太賀。そんな彼のオススメの出演作は、以下の一本だ。
●仲野太賀の演技を堪能するためのお勧めの一本
『泣く子はいねぇが』(2020)
是枝裕和が認めた才能・佐藤快磨監督がメガホンをとった本作。
仲野太賀演じるたすくは、妻・ことね(吉岡里帆)との間に子どもを授かる。しかし父になる覚悟がないたすくに苛立つことねは、愛想をつかしてしまう。
その後、地元にいられなくなったたすくは上京するも、そこにも居場所はなく、くすぶった生活を送っていた。そんな中、親友からことねと娘の近況を聞いたたすくは、自分の行いを改めて地元に戻る。
本作での仲野は、クズの権化のようなキャラクターを演じている。脚本と仲野の芝居が相まってかなりリアルに描写されているところが胸糞悪い。
しかし、大げさな芝居はしていないのに本人の中の苦しみが滲み出るような感情や思考の露呈は素晴らしい。
たすくを仲野が演じなければ、芝居臭くなり、本作は全く別のものになっていたと思う。