憑依型カメレオン俳優
●松山ケンイチ

『デスノート』のLや、NHK大河ドラマ『平清盛』で平清盛を演じるなど、個性的な役柄や、難易度の高い役柄を演じさせたらピカイチの才能を発揮する松山ケンイチ。
演じる役柄によって、体重をコントロールしたり、キャラクターの仕草が自分の癖になったりと、内面も外見も変えてしまう様はまさに“カメレオン俳優”と言える。
●松山ケンイチの演技を堪能するためのお勧めの一本
『人のセックスを笑うな』(2008)
松山ケンイチ演じる19歳の美大生のみるめは、20歳年上の美術学校の講師ユリ(永作博美)に絵のモデルを頼まれる。みるめは何にもとらわれない自由なユリに恋してしまう。しかしユリは既婚者で…。という物語。
松山ケンイチの名作が数多くある中、今回セレクトした本作は、人によってはつまらないかもしれない…。というのも衝撃的なタイトルの割にそういったシーンがない。それに長回しで淡々とした時間が流れるため、劇的な展開があるわけでもない。
しかしなぜかずっと見ていられるのは、永作博美の小悪魔さに、ブンブン振り回される松ケンがかわいすぎるからだ。
今でこそ大人の魅力が漂い、重鎮感が醸し出されている松ケンだが、本作ではまだあどけなさが残っており、若さゆえの無垢な雰囲気が漏れてしまっているのが、最高にエモい
キャラクターと松山本人の素顔が渾然一体となったようなみるめというキャラクターを見ていると、もう戻れないかけがえのない過去を眺めているような気持ちにさせられる。必見!