全てを超越した当代一の天才俳優
●森山未來
森山未來の芝居は、恥ずかしいくらいに情けなくて、かっこよくて、美しい。全てをさらけ出す姿は、もはや神秘的とすら思える。
そんな神がかった演技を見せる森山は、母親が経営するダンススタジオで5歳からダンスを始め、俳優業は15歳の頃より開始する。映画『世界の中心で、愛をさけぶ』や、『モテキ』など、彼の出演する作品はことごとくヒット。
庵野秀明監督作『シン・仮面ライダー』に出演した際は、オーディションにきた森山のために、庵野秀明が脚本を加筆したというエピソードもある。
NHKBSプレミアムで放送されたドキュメンタリー番組『シン・仮面ライダー ~ヒーローアクション挑戦の舞台裏~』では、庵野秀明の無茶な要望によって主要キャストの池松壮亮、柄本佑、森山未來が車座になり、アクションシーンを作り上げていった様子が見られる。
かなり苦労した様子がヒシヒシと伝わってくる内容だが、本編では圧倒的な熱量がスクリーンを通して伝わってくる、技術だけではない森山未來の生き様を見ることができる。
そんな森山未來が出演するオススメの一本を紹介しよう。
●森山未來の演技を堪能するためのお勧めの一本
『怒り』(2016)
東京で、奇妙な殺人事件が起こる。犯人は現場に血で書いた「怒」という文字を残し、逃亡。整形した犯人は今もなお見つかっていない。
それから1年後、千葉で漁師として働く洋平(渡辺謙)と、その娘の愛子(宮崎あおい)の前に田代(松山ケンイチ)という青年が現れる。一方東京では大手企業に務める優馬(妻夫木聡)が直人(綾野剛)という男と知り合う。
そして沖縄では、女子高生・泉(広瀬すず)が無人島で田中(森山未來)という男と出会う。
しかし警察が公開した犯人の顔写真は、どことなく出会った男に似ていた…。
3つのストーリーが同時進行しながら、徐々に人間の心の内が歪んでいくような作品で、かなり重めな内容。精神的に余裕のある状態で見なければ、なかなか心に負担がかかってしまう側面もある…。
しかし、役者、脚本、監督全ての要素が素晴らしい作品であることは間違いないため、まだご覧になってない方はぜひ観てほしい一作だ。
あまり書くとネタバレになってしまうため詳しい記述は控えるが、本作の森山未來は表情、動き、存在感全てが計算し尽くされていると感じる。というのも、計算くさい演技というわけではない。
ナチュラルすぎて何も違和感を感じないレベルで、逆に最初は他の出演者より目立たないような印象も受けた。しかし衝撃的なラストへ向かって解放されていく芝居は、確実に胸をえぐられるはずだ。
(文・野原まりこ)
【関連記事】
今、最も演技が上手い20代女優は? 日本映画界の未来を担う逸材5選。芝居に定評のある天才をセレクト&魅力を深掘り解説
今、最も演技が上手い20代俳優は? 2024年に大躍進が期待される逸材5選。芝居に定評のある国宝級イケメンをセレクト
今、最も演技が上手い40代俳優は? 日本のエンタメ界を牽引する名優5選。役者として絶頂期を迎えている逸材をセレクト