名脇役の代名詞的なキャラクター
『ショーシャンクの空に』モーガン・フリーマン(レッド役)
製作年:1994年
製作国:アメリカ
監督:フランク・ダラボン
脚本:フランク・ダラボン
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン、ボブ・ガントン、ウィリアム・サドラー、クランシー・ブラウン、ギル・ベローズ、ジェームズ・ホイットモア
【作品内容】
“脱獄モノ”の系譜として挙げられる本作。冤罪によって投獄された有能な銀行員が、腐敗した刑務所の中でも希望を捨てずに、自由を手に入れるヒューマンドラマ。
【注目ポイント】
名作『ショーシャンクの空に』で、ストーリーテラーの役割も果たすレッドは、「調達屋」として囚人たちから慕われており、終始主人公・アンディの味方である。
何度も仮釈放の審査に落ち続けているレッドは、もはや出所することに希望を見出してはいない。そんななかで若くスマートで他の囚人とは異質なアンディに対してなにか思うところがあったのだろう。アンディの脱獄のアイテムとなるロックハンマーやポスターなどを調達し、約20年にわたって友情を育む。
彼は脱獄の前日、アンディの様子がおかしいことに気づき、自殺を案ずる。翌朝の点呼の時間に、アンディが牢の中から出てこないのを心配そうに眺める表情は家族の身を案じているようにしか見えず、観客の感情を揺さぶる。
アンディの脱獄から数年後、レッドは服役40年目にして仮釈放が認められる。しかし、長年刑務所で生活していた彼は実社会に馴染めず、自殺を考えるようになる。
そのときに、アンディが脱獄前に残した伝言を思い出すのだ。言われた場所に行くと、手紙とお金が残されており、レッドはアンディが暮らす街へ向かう。そして、海岸で悠々自適に暮らすアンディと再会すると2人は抱き合うのである。
今作はアンディの見事な脱獄劇もさることながら、人生を諦めていたレッドの生き直しの物語でもある。アンディはレッドを救済し、終身刑の受刑者に希望をもたらしたのだ。アンディを演じたティム・ロビンスももちろん素晴らしい。しかし、今作を名作足らしめているのは、レッドを演じたモーガン・フリーマンの演技である。
絶望と希望のグラデーションを見事に演じたモーガン・フリーマンの演技は、アカデミー賞とゴールデングローブ賞において助演男優賞にノミネートされた。彼は、その後、アカデミー賞助演男優賞に合計5回ノミネート(4度目の『ミリオンダラーベイビー』にて受賞)され、助演で輝きを放つ稀代の名優となった。
今作は、名作ぞろいの彼のフィルモグラフィーの中でも代表作と言っていいだろう。