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大きく腫れ上がった西島秀俊の顔と肉体美は必見

『CUT』(2011)

監督:アミール・ナデリ
脚本:アミール・ナデリ
出演:西島秀俊、常盤貴子、笹野高史、菅田俊、でんでん、鈴木卓爾

【作品内容】

売れない映画監督の秀二(西島秀俊)は、亡くなった兄の借金を返済するために、ヤクザ相手に殴られ屋をすることになる。殴られても殴られても、ただ映画を愛する気持ちだけで立ち上がる…。

【注目ポイント】

「クソクズ映画め!」
もうろうとした意識の中でひたすら口走る秀二。大きく腫れ上がった彼の顔に、借金取りたちがパンチを繰り出す。なんと狂おしい映画讃歌だろうか。
本作で西島が演じるのは、映画をこよなく愛する売れない映画監督・秀二。彼は、金儲けが目的の娯楽映画を敵視し、体の内で炎をたぎらせ続けている。

そんな彼の闘志は、借金取りから受けたあざとともに大きく膨れ上がっていく。あまりの痛々しさに、死んだ兄のボス(菅田俊)すら助け舟を出す。しかし、秀二は殴られ屋をやめない。借金返済という当初の目的は空転し、ただ殴られることが目的になる。むき出しになるのは、映画への偏愛だ。

本作で印象的なのは、なんといっても西島の肉体美。一発ごとに殴られ、腫れ上がっていく彼の顔からは、自己犠牲的な美しさが浮かび上がる。特に殴られ終わった後、傷を癒すために映画の光を浴びるシーン。白黒の光に照らされた彼の裸体は、冒頭の会話に登場する三島由紀夫のそれを思わせる。

借金返済の最終日。彼は、自ら申し出て、100発のパンチを受けることになる。借金取りのパンチに、古今の名画を重ね合わせる秀二。その愛はあまりにも狂おしく、そして美しい。

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