この映画を観たら人を信用できなくなる!? 笑顔の裏側の狂気が光る
『悪の教典』伊藤英明
原作:貴志祐介
監督・脚本:三池崇史
キャスト:伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、水野絵梨奈
【作品内容】
学校では同僚や生徒からも人気で“教師の鑑”と評される蓮実聖司(伊藤英明)は、実は他者のへの共感能力が欠如した“生まれながらのサイコパス”だった。
【注目ポイント】
『黒い家』(1999)や『青の炎』(2003)など映画化作品も多い貴志祐介の同題小説をバイオレンス描写に定評がある三池崇史監督が映画化。それまで好青年キャラが続いていた伊藤英明がサイコパス教師・蓮実を怪演。
生徒役として二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大などが今や主演級の面々がキャスティングされている。
蓮実聖司は“ハスミン”の愛称で生徒から呼ばれるほどで、一部女子生徒による親衛隊までできている人気、実力を兼ね備えた英語教師。しかし、その正体は自分の邪魔になるものは誰でも、躊躇なく排除していくサイコパスで、幼少期から凶行を重ねてきた。
映画ファンであれば、似たようなキャラクターとして真っ先に思い浮かぶのは、映画『バトルロワイアル』(2000)でビートたけしが演じた、生徒同士に殺し合いを仕向ける教師だろう。ただ、『バトルロワイアル』の教師は、学級崩壊の過去があり、生徒への復讐心に駆られた結果、凶行に及ぶキャラクターとして造形されていて、何とも言えない哀愁がある。それに対し、本作で伊藤英明が演じた教師は、ナチュラル・ボーン・サイコパスであり、人間味の欠片もない。
自身のクラスを“理想の王国”とするために悪行を重ねるが、やがてそれはゆがんだ結果を生んでしまう。これを受けて蓮実は文化祭の準備で学校に残っていた教え子四十人を全員殺害することに決め、散弾銃を手にする…。内容の過激さから当然のごとくR-15指定を受けている本作。観るのに覚悟がいる一本だと言えるだろう。