「“ちょっと待って”→“もっとキテ”」
2番の歌詞にグッとくるワケ
エンディングアニメーションの絵コンテ、演出、原画は中嶋敦子が担当し、その作画は魅入ってしまう美しさがある。秀麗な画がポップな曲調にも落ち着いた曲調にも絶妙に重なり合う。
冒頭、ふたりの視線が合わない時期を経て、安達がチラっとこちらに目をやり、黒沢は爽やかな笑みを浮かべ、やがて物語が動き始めていく。
“瞬間、近づく鼓動、聴こえた、マジかよ魔法(マジカル)……!?”の歌詞とリンクするような安達のトキメキ顔もとびきり可愛い。黒沢の恋心を知った当初、驚きが大きかったとはいえ確かに安達はキュンとしていたし、それから何度もハートを撃ち抜かれているのだ。
“ハッピーエンドの途中、焦るI want you”と聴いて様々な場面が浮かぶが、ここで描写される安達と黒沢は格別に美しく、どこか儚さと切なさも含んでいる。ハッピーエンドの途中、それぞれに抱えるものと二人がぶつかる壁を示唆しているよう。
水に濡れ憂いを帯びた安達と、深く沈んでしまいそうな黒沢。だがその後、愛を深めた二人は穏やかに向かい合い、安達の手は黒沢のシャツをしっかりと掴んでいて、“一緒なら越えてゆける”と強く思わせてくれるラストに繋がっていく。
解釈は様々あるが2番の歌詞に少し触れると、黒沢との関係が進み己の感情に対処しきれないなかで、安達も黒沢にもっときてほしいと求めているんだと思わせてくれる部分があって、筆者は膝から崩れ落ちた。単純に1番と対比すると、“ちょっと待って”→“もっとキテ”は頭を抱える。
また、この曲は恋のトキメキや心を通わせていく愛の深まりを描くと同時に、“誰にも邪魔させない”彼らの強い意思も乗せられていると感じる。