『ハウス・ジャック・ビルト』(2018)
上映時間:152分
製作国:デンマーク、フランス、ドイツ、スウェーデン
監督:ラース・フォン・トリアー
脚本:ラース・フォン・トリアー
キャスト:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン、シオバン・ファロン、ソフィエ・グロベル、ライリー・キーオ、ジェレミー・デイヴィス
【作品内容】
建築家を夢みる技師・ジャックは、あることがきっかけでシリアルキラーへと変貌を遂げる。殺人に明け暮れながら「ジャックの家」を建てる過程が、5つのエピソードを通して描かれる。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー監督によるR18+指定のサイコスリラー。カンヌ国際映画祭での上演時には途中退席者が続出し、賛否両論を巻き起こした。アメリカでの公開時には修正版のみが上映されている。
ミミカ・モーフ 推薦コメント
今作を手がけたのはあの『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を撮った、鬼才・ラース・フォン・トリアー。例にもれず、賛否両論が渦巻く一作である。
建築家を目指す潔癖症の男性が、とある出来事をきっかけに、12年もの間、殺人を繰り返すサマが描かれる。なんと言っても衝撃的なのが、殺した人物の死体で家を建てるシーンをはじめとする、残酷描写の数々。常軌を逸した狂った映像の数々は、アメリカでは修正版しか放映出来なかったほど。
しかもこの殺人鬼は、無差別に人をターゲットにしている様に見えるが、その実、自分よりも弱い人間しか襲わない。それもあって、もっともらしい美学や哲学を語れば語るほどチンケな存在に見えてくる。
その上、潔癖症であるため、殺害をした後、現場の掃除に凝り始め、無駄に時間をかけてしまうなど、間抜けな一面も。そのせいで危うく犯行がバレそうになったりと、カッコいいサイコパスと言うよりは、俗物的なキャラクターとなっている。
観る人によっては、その俗物性を楽しむ気分にならず、腹立たしく感じるかもしれない。人間らしく感じる分、身近で考えが読みやすいため、胸糞の悪さが倍増するというわけだ。他の映画ではあまり見られない、ユニークなサイコパスの活躍を楽しむ映画として、おすすめしたい一作だ。