“見守る人”を演じることで発揮される俳優・野呂佳代の魅力
風向きが変わり始めたのは、おそらく2021年。野呂はフジテレビの看板枠“月9”で波瑠や田中圭、岸優太ら豪華キャストが顔を揃えた『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)に出演した。
この作品では、主要キャストとして毎話必ず出番があったわけではなく、彼女がメインとなる放送回があったわけでもない。それでもこの頃から俳優・野呂佳代の立ち位置が徐々に変わりはじめたように思う。
『ナイト・ドクター』で野呂が演じたのは、救命救急センターの看護師。個性豊かなナイトドクターたちを、時に不安げな様子を見せながら適度な距離感で見守るキャラクターである。
俳優としての野呂の魅力が最大限に発揮されるのは、“見守る人”を演じた時ではないだろうか。
昨年、一部で大いに話題となった『SHUT UP』(2023、テレビ東京系)では、性被害を受けた女性たちのグループミーティングを仕切る女性・高梨塔子役を演じている。また、放送中の『アンメット』でも、野呂は交通事故をきっかけに記憶障害となった主人公・川内ミヤビ(杉咲花)を応援する敏腕麻酔科医・成増貴子を好演している。