極限に追い詰められた女因たちの生態を描く
過激シーン続出の問題作

『女囚701号 さそり』（1972）

【作品内容】

女子刑務所を舞台に、恋人の裏切りに対し復讐の怨念を異常に燃やし続ける主人公・松島ナミ（梶芽衣子）を中心に、極限に追つめられた女囚たちの生態を描いている。そこは女の憎しみと体臭がむせかえる地獄絵図だった。ナミは、周りの女囚や看守から受けるリンチまがいの暴行に耐えかね、脱走を試み、過去に自身を裏切った男たちに復讐しようとする…。

【注目ポイント】

作品中には、殺人の他にも、陵辱やリンチなどの凄惨極まれるシーンも表現されており、女子刑務所ならではの嫉妬や欲望、陰湿なイジメなども細かく描写されている。

本作の凄惨さを伝えるために、いくつかのシーンを具体的に見ていこう。ある日、刑務所内の班長グループと一般女囚がトラブルを起こし、全ての女囚に過酷な強制労働が命じられる。長時間に渡る強制労働でついに女囚たちの不満が爆発して暴動を起こし、彼女たちはスコップで数人の看守を襲って銃を奪う。

その時、ナミを狙う銃に気づいた仲間の由起子はナミをかばうように被弾し、撃ったのは班長グループのリーダーの片桐であると血文字でナミに伝えた後、息を引き取る。

その後、女囚たちは刑務所の倉庫に数人の看守を人質に取ってバリケードを築いて立てこもるが、この状況でまたしても片桐がナミを暗殺しようとする。ギリギリで助けられたナミは片桐を脅すと、ナミの暗殺はナミのかつての恋人・杉見の命令によるものと自白。そしてナミは、改めて彼への恨みを募らせる。

その後看守たちがなだれ込むが、ナミは床に撒いた灯油に火をつけて火事を起こし、周囲の人々が避難しようと大混乱する中、脱走に成功し郷田を悔しがらせる。

後日、全身黒い服に身を包んだナミは３年前に暮らしていた街に現れ、恨みを持った男たち一人ひとりを順番に復讐を果たし、ナミは自分の意思で刑務所に戻る…。

篠原とおる氏による劇画の映画化作品だが、実写においても、限界に挑戦するかのように、過激なシーンを映し出した挑戦的な作品である。その描写は、公開から50年以上経った現在観ても、十分に戦慄的である。