新垣結衣史上“最高傑作”に異論なし…映画『違国日記』の“槙生”役が完璧にハマったワケ。役者としての稀有な魅力を徹底解説
”ガッキー”の愛称で多くの人から親しまれている俳優・新垣結衣。数多くのドラマ出演を果たし、長きにわたり活躍している。新作映画『違国日記』ではクールな主人公”高代槙生”を好演し、映画俳優として確固たる地位を築いた。今回は、新垣結衣の過去の出演作を振り返りながら、その魅力を徹底考察する。(文・苫とり子)
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
『違国日記』で新垣結衣が見せた新境地
多くの人が心待ちにしていた映画『違国日記』がついに公開された。原作は、「FEEL YOUNG」(祥伝社)にて連載されていたヤマシタトモコの同名漫画。
少女小説家の高代槙生が姉の遺児である田汲朝を引き取るところから始まる物語で、累計販売数180万部を突破する、知る人ぞ知る名作だ。筆者はこの作品で、映画俳優として確固たる地位を築いた新垣結衣にすっかり魅せられてしまった。
新垣は今年で芸歴23年を数える。ファッション雑誌「ニコラ」(新潮社)の専属モデルとしてデビューし、ポッキーのTVCMに出演すると瞬く間にお茶の間の人気者となった新垣。
まもなく女優業にも進出し、『ドラゴン桜』(TBS系、2005)、『ギャルサー』(日本テレビ系、2006)、『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』(日本テレビ系、2006)、『パパとムスメの7日間』(TBS系、2007)など、コギャルから清楚なJKまでありとあらゆる高校生を演じた。
2007年には、映画『恋空』で壮絶な人生を歩むヒロイン・美嘉を演じ、映画賞新人賞を総なめしている。映画は大ヒットとなったが、おそらく新垣本人にとっても転機となったのではないだろうか。
10代での妊娠・流産、性的暴行、恋人の死など、様々な悲劇に見舞われる美嘉を情感たっぷりに演じたことで良い意味で初々しさが抜け、翌年放送された『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系、2008)での高評価に繋がっている。
医療ドラマという特性上、シリアスな場面も多い中で、自身の代名詞でもある“ガッキースマイル”を封印し、地に足のついた演技を見せた新垣は名実ともに国民的俳優の仲間入りを果たした。