1980年代の雰囲気を鮮やかに切り取った青春映画の金字塔
『スタンド・バイ・ミー』(1986)
上映時間:89分
原題:Stand by Me
製作国:アメリカ
監督:ロブ・ライナー
原作者:スティーヴン・キング
脚本:レイノルド・ギデオン、ブルース・A・エヴァンス
キャスト:ウィル・ウィートン、リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランド、ケイシー・シマーシュコ、ゲイリー・ライリー
【作品内容】
アメリカを代表するベストセラー作家スティーブン・キングの中編小説を映画化した青春劇。スティーブン・キングと言えばホラー作品の印象が強いが、本作は1994年公開の『ショーシャンクの空に』(原作のタイトルは「刑務所のリタ・ヘイワース」)などと並ぶ、非ホラー系の代表作の1本である。
【注目ポイント】
メガホンをとったのは、フェイクドキュメンタリー『スパイナル・タップ』(1984)でデビューしたロブ・ライナー。デビューしてわずか2年で、青春映画の金字塔として名高い本作を作り上げた。
その後も、ロマンティックコメディ『恋人たちの予感』(1989)、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが共演した『最高の人生の見つけ方』(2007)といった秀作を世に問うなど、息の長い活躍を見せている。スティーブン・キング原作の『ミザリー』(1990)を手がけたのもライナーである。
ロブ・ライナーの手腕もさることながら、本作を傑作たらしめている要素としてキャスティングに触れないわけにはいかないだろう。リヴァー・フェニックス、コリー・フェルドマン、ジェリー・オコンネル、キーファー・サザーランドといった若手俳優を積極的に起用し、1980年代の雰囲気が鮮やかに切り取られている。
時代を超えて舞台版が上演され続けるなど、ストーリーには普遍性があり、時代を選ばない内容となっている。ちなみに日本版の舞台作品では、市川新之助(現・市川團十郎)やアイドルグループ嵐のメンバー、生田斗真、尾上松也といった、実力と人気を兼ねそなえた若手がメインキャストにコンバートされている。
リメイク&リブートとなると、やはり肝はキャスティング。実力と将来性を兼ね備えたキャストを集めたいところ。創り手にはかなりの選球眼が求められる。大々的なオーディションを展開するのも良いだろう。特に夭折したリバー・フェニックスが演じた、少年たちのリーダー格クリス・チェンバース役を誰に託すのか。このキャスティングは映画の成功の鍵を握っていると言っても過言ではない。
失敗した時のリスクは大きいが、成功の暁には輝かしい名声が待ち受けている。その点、博打的な企画ではあるが、イチかバチかの賭けに打って出る気骨のある映画プロデューサーはいないものだろうか。