映画化したら苦悩や哀愁が漂う傑作になること間違いなし
●笑い飯『鳥人』
「友達の証にこのタキシードの胸元を開いて、人間の体と鳥の頭のちょうど境目を見せてあげよう」
『M-1グランプリ2009』で披露された『鳥人』は、審査員から大会史上初得点の「100点」を叩き出し、今なお伝説として語り継がれている伝説のネタだ。夏祭りのヒヨコ屋台を舞台に、鳥好きな子どもの前に現れる、上半身が鳥の英国紳士風の男〈鳥人〉を、Wボケのスタイルで演じていく。
この漫才を映画化する上で、ダークファンタジーの巨匠・ギレルモ・デル・トロ監督にメガホンをとってもらいたい。第79回アカデミー賞を受賞した映画『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)の半魚人のような〈彼〉、『パンズ・ラビリンス』(2006)の手に目玉がついや生物〈ペイルマン〉を生み出したデル・トロ監督の手にかかれば、上半身が鳥で下半身が人間の〈鳥人〉も、きっと怪しくて美しい、そんな魅力的なキャラクターになることだろう。
また、『ナイトメア・アリー』(2022)に登場するカーニバルのような怪しい一座に、鳥人が見世物として連れて行かれるといった展開も作ってくれそうだ。
そして、日本のポップカルチャーに造詣の深いデル・トロ監督なら、「鳥人」の設定の源流にあるであろうコント番組『ごっつええ感じ』(フジテレビ)の人気コント「トカゲのおっさん」にも辿り着き、半分人間(獣人)ならではの、苦悩や哀愁、それが生む「笑い」を味わえる作品にしてくれるかもしれない。