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アンメットが名作になった理由④
「死」ではなく「生」を描くストーリー

『アンメット』第8話より ©カンテレ
『アンメット』第8話より ©カンテレ

 アンメットには「ミヤビの記憶障害がどうなってしまうのか」という軸と「脳の病気を患ってしまった患者たちのストーリー」という2本の軸があった。その患者たちのストーリーがあまりにも重厚で緻密だ。

 左側の感覚を全て失う“左半側空間無視”という後遺症を負ってしまった高校サッカー部のエース・鎌田亮介(島村龍乃介)、髄膜腫の影響で味覚が落ちる後遺症を負ってしまった料理人・高美武志(小市慢太郎)、喜怒哀楽を抑えられなくなる“社会的行動障害”という後遺症が残ってしまった綾野勲(飯田基祐)など、下手をすれば一生付き合っていかなくてはならない後遺症と戦う患者たちの姿に毎話心を撃たれた。

 そして彼らの心情が絶妙にミヤビの心情とリンクしているからこそ、より視聴者はストーリーに入り込むことができる。

 また、このドラマではほとんど直接的な「死」を描いていない。あくまでも治療をした患者の「その後」を描くことで「生」を描いていた。手術シーンも、少しのミスも許されない「脳」という部位にフォーカスしているからこそ、派手さはいっさい無いが息を呑むほど緊迫した雰囲気が画面から感じられた。

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