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アンメットが名作になった理由⑤
明確な「終わり」を描かないラスト

『アンメット』第11話より ©カンテレ
『アンメット』第11話より ©カンテレ

 このドラマが「伝説」になったと確信したのは、最終回のラストのセリフだ。手術を終え、目を覚ましたミヤビに三瓶が声をかける。

「わかりますか?」「わかります」ここでドラマは幕を下ろす。

 これが並のドラマであれば、第3者が「記憶が戻ったんだね?」だの「昨日のことは覚えている?」だのと説明セリフを入れ、ミヤビや三瓶、病院のメンバーの日常を描き、最後は2人がプロポーズをやり直すシーンで終わるだろう。

 しかし、それをあえて描かずに「わかりますか?」「わかります」という問いかけのみ、その先の未来はドラマの中の人間だけが知っている。このような終わり方は、ともすれば「ここまで見てきてフワッと終わらすなよ」という批判を受けかねない諸刃の剣だ。

 しかし、アンメットはその「描かない」ことを11話続けてきた。1話から描くことと描かないことのバランスを崩すことなく、丁寧に丁寧に物語を積み重ね続けてきたことからこそ成立した究極のラストなのだ。

 以上、「アンメットが名作になった理由5選」とさせていただいたが、小道具の使い方の上手さ、カメラワークの素晴らしさ、主題歌とのリンク、など正直50選でも足りないくらいだ。しかし、私はあえて「書かない」という選択を取りたい。残りの47選はきっと、アンメットを視聴した1人ひとりの中にあるのだから…。

(文・かんそう)

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