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製作者のパッションが100%感じられる傑作

『少林サッカー』(2001)

宮下兼史鷹
写真:Wakaco

―――スポーツコメディーの金字塔ですね。

「はい。こんなに頭空っぽにして観られる映画はないですね(笑)。例えば漫画を実写化するという、パターンってすごく多いじゃないですか。

ちょっとややこしいですが、この映画は漫画が原作ではないのに、『漫画原作のような雰囲気』を出している気がするんです。漫画原作じゃないのに、それっぽい作品としての成功例を、どれよりも早く作り上げた映画だと思うんですよ」

―――なるほど! その後の漫画原作の実写版に影響を与えているかもですね。

「そうそう! 本作のチャウ・シンチー監督は、おそらくですが逆に日本の漫画やアニメに影響を受けているんですよ。『キャプテン翼』(集英社)にインスピレーションを受けたっていう噂もありますし。

そもそも、CGなどを駆使した映画って、冷めちゃうときもあるじゃないですか、でも、この作品はその感覚を覆してくれるんです。CGは今観ると結構荒いですが、それを超えてくる作り手の魂、パッション、『面白い映像作るぞ!』といった気合を激しく感じるんです。製作者たちの想いが、100%映像に映し出されているという点でもおススメです」

―――コメディ的な部分でご自身のお笑いの感覚に近い部分はありますか?

「あまりツッコミをしないという点は、好きなやり方ですね。要は、観ている人が自身で汲み取って、『なんなんだよ!』ってツッコんで笑える感じと言うか。

それで言うと、僕、特撮モノが好きで、作中で『なんだよそれ!』っていうことが結構起こるんですよ。でもそこにツッコミが入らないんです。かと言って、それは変だぞって思わせるような空気感もなく物語は終わる…。

ある種のシュールさっていうのが、僕は究極の笑いだと思うんです。『少林サッカー』は、コメディー映画ですが、そういった感覚があるんです」

―――それはツッコミの立場である宮下さんならではの分析ですね。

「ありがとうございます。突き詰めれば、お笑いでもツッコミなんていらないんですよ」

―――いやいやいや!!

「ツッコミは、ボケのフォローでしかないんですよね。 わかりやすくして、こう、汲み取ると面白いですよっていうことを視聴者に説明しているという。だから、僕はもう、ツッコミというよりプレゼンだと思ってやっています(笑)」

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