現在放送中のドラマ『海のはじまり』（フジテレビ系）と、『西園寺さんは家事をしない』（TBS系）。両者はドラマの性質は大きく異なるものの、”ステップファミリーもの”（血縁の無い親子関係を築く作品）という共通点がある。今回は、2作品を比較しながら、家族というものの在り方をいま一度、見つめ直してみたい。（文・菜本かな）

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【著者プロフィール：菜本かな】

メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動を行っていた。エンタメとファッションが大好き。

夏ドラマは“ステップファミリー”が鍵？

　月9ドラマ『海のはじまり』（フジテレビ系）と、火10ドラマ『西園寺さんは家事をしない』（TBS系）。作品のタッチは違えど、この2つには“ステップファミリーもの”という共通点がある。ステップファミリーとは、再婚や事実婚などによって生まれた、血の繋がりのない親子関係や兄弟姉妹関係を含む家族形態のことを指す。

　ただ、『海のはじまり』と『西園寺さんは家事をしない』で大きく異なるのは、いわゆる“お父さん”と“お母さん”ポジションに位置する2人の関係性だ。

　まず、『海のはじまり』の弥生（有村架純）は、恋人の夏（目黒蓮）と一緒に生きるために、海（泉谷星奈）のお母さんをやろうとしている。弥生は過去に中絶を経験しているため、そのときの子どもを海と重ねている可能性もあるが、いちばんは“夏と別れたくない”という願望からきていると思う。

　ただ、このステップファミリーが前途多難なのは、夏の元カノ・水季（古川琴音）の存在感が大きすぎること。夏と水季は、お互いが嫌になって別れたわけじゃない。水季は、海を産むことを知らせて夏を困らせたくなくて、身を引いた。もしも、水季が生きているときにその事実を知ったとしたら…。2人はヨリを戻して“家族”になっていた可能性もあったかもしれない。

「いやいや、それはないよ」と言われたとしても、水季が既にこの世にはいないかぎり、弥生の頭のなかに“もしも”が広がってしまうのは仕方がない。