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ホラー以上に怖いサバイバル映画

『バトル・ロワイアル』(2000)

橋本鉄平「自己防衛おじさん」
提供橋本鉄平

――続いてご紹介いただくのは、『バトル・ロワイアル』です。

「これは、学生時代に新宿の映画館で見たんですが、その夜、ひどい悪夢を見たんですよ(笑)。親は、ものすごくうなされてた、と言っていました。ホラーじゃないのに、ホラー以上に怖い。そんな怖さをはじめて体験した作品ですね」

――『バトル・ロワイアル』の怖さは、どこか陰湿で、日本ならではだと思います。

「確かに、もしアメリカで『バトル・ロワイアル』を作ったら、からっとした荒野での撃ち合いになるでしょうね。序盤では、ビートたけしさん演じる教師がナイフを投げて女生徒を殺害しますが、ナイフを凶器に選ぶという発想がそもそも海外だとあまり出ない気がします」

――ただ、『バトル・ロワイアル』って海外での評価がとても高い作品でもあるんですね。例えばクエンティン・タランティーノは、この作品を見て栗山千明を発掘し、『キル・ビル』シリーズに起用しました。

「子どもたちを離島に隔離して殺し合いをさせるというアイディアが、海外の監督さんには新鮮に映ったのかもしれないですね。日本ならではの作品でありながら、日本映画の枠に収まらないというのは興味深いです」

――また、『バトル・ロワイアル』は、『リアル鬼ごっこ』(2008)や『イカゲーム』(2021)といったデスゲーム映画の嚆矢でもありますが、鉄平さんは特に『バトル・ロワイアル』に衝撃を受けたんでしょうか。

「そうですね。というのも、『バトル・ロワイアル』のキャスト陣って、僕と同年代なんですよ。そんな彼/彼女たちが、人間性をむき出しにして、裏切りあったり、カップル同士手を繋いで崖から飛び降りたりする。それを多感な思春期に劇場で見たので、モロにくらってしまったんですね。

一方、最近の映画は、出演者が10歳以上離れているので、そもそもあまり感情移入することがない。なので、割と冷静に観れるんです」

――なるほど、それはかなり辛かったですね。ちなみに、私の場合は、保守的な家庭で育ったので、そもそも見るのを禁止されていました。鉄平さんはいかがでしたか。

「僕の場合は、この見た目からも分かる通り、かなり開放的な家庭でした(笑)。はじめから諦めているところがあって、ダメと言われることが何ひとつなかったんです。なので、素直に観て素直にくらいました(笑)。ただ、『バトル・ロワイアル』は、国会でもかなりの問題になりましたよね。その点、当時はまだいい時代だったのかもしれないですね」

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