一流俳優陣に真っ向勝負した名演技が光る
松坂桃李『梅ちゃん先生』(2012)
デビュー当時は高身長イケメン俳優という枠で、ビジュアル面ばかりフィーチャーされがちだった松坂桃李だが、近年は演技派俳優としての評価もうなぎ登り。彼もまた福士蒼汰などと同様、『仮面ライダー』シリーズへの出演(『仮面ライダーディケイド』)で注目を集め、朝ドラで知名度を一気に上昇させた俳優である。松坂が素晴らしい演技をみせた作品は『梅ちゃん先生』だ。
『梅ちゃん先生』は2012年前期に放送された作品。終戦後の下町を舞台に、命と向き合う女性医師の奮闘を描く。すでに芸能界から一線を引いた、堀北真希が主演を務めた話題作である。『梅ちゃん先生』で松坂は、堀北演じる下村梅子の幼馴染で、後に夫となる安岡信郎を演じた。
そんな2人の息のあった演技は視聴者を虜に。なかでも、雨が降りしきる場面で信郎がプロポーズをするシーンは、朝ドラ屈指の名場面として名高い。また、2人がみせたリアルな夫婦喧嘩に共感の声が相次いだ。
倍賞美津子、大和田伸也、鶴見辰吾…そうそうたるキャリアを誇る名優陣のなかでも決して埋もれない、安定感のある芝居で魅了する松坂をみる世間の目は、ドラマを通じて、イケメン俳優から演技派俳優へと変わったことは言うまでもない。
のちに映画『孤狼の血』ではコワモテの刑事を演じ、役の幅を縦横無尽に広げている松坂。まだまだ30代。俳優としてどんどん成長することだろう。
(文・shuya)
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