2024年夏ドラマの中でも好調を見せる『西園寺さんは家事をしない』（TBS系）。そのヒットの鍵となるのが、主演の松本若菜と、彼女が演じる明るく”お節介”な西園寺さんだ。今回は、本作がこれほどまでに視聴者の心を掴んだ理由を徹底解明。西園寺さんの魅力に迫る。（文・小林久乃）【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール：小林久乃】

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ！」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報はこちら

プライム帯初主演・松本若菜の快進撃

　ドラマ『西園寺さんは家事をしない』（TBS系）が好調だ。動画配信サービス「TVer」での再生数で人気を辿っていくと、『海のはじまり』（フジテレビ系）、『夫の家庭を壊すまで』（テレビ東京系）など、話題性のある俳優たちの作品が上位を占めている。

　それらと同じゾーンに位置するのが『西園寺さんは家事をしない』だ。私も「夏ドラマのお勧めは？」と知人友人や、取材で聞かれるときには、必ず一番にタイトルを挙げている。

　キーとなるのは、初主演作品となる松本若菜の存在だ。

『西園寺さんは家事をしない』は松本演じる西園寺一妃（松本）が主人公。独身、アラフォー、最近一軒家も購入。明るく性格で、“真っすぐ”という言葉が本当によく似合う女性だ。

　そんな西園寺さんの一軒家には、賃貸ルームがある。ここに思いがけず住むことになったのが、同僚の楠見俊直（松村北斗／SixTONES）というシングルファザー。

　妻を亡くし、慣れない4歳の娘の育児をしながら、住むはずだったマンションが火事という災難に。そんな楠見を放置しておけず、賃貸ルームに住まわせ、“ニセ家族”として生活することになった三人。

　今まで気楽な一人暮らしだった西園寺さんが、楠見親子と住みながら少しずつ変わっていく…というのが、おおまかなあらすじ。

　この明るい西園寺さんを演じる松本の力は大きい。少し前までアラフォー、独身、美女というパブリックイメージが際立ったのか、艶っぽい役が多かった。

　Netflixドラマ『金魚妻』（2022）では不倫妻に、ドラマ初主演作も『復讐の未亡人』（テレビ東京系、2022）というタイトルが示す通り、愛する人のために自らの美貌を使って、復讐をしていく役。こんな役を覆すかのように、今回演じている西園寺さんは純度が高い女性だ。