女性の自由と悲劇を描いた最高傑作
『冬の旅』(1985)
上映時間:105分
原題:Sans toit ni loi
製作国:フランス
監督:アニエス・ヴァルダ
脚本:アニエス・ヴァルダ
キャスト:サンドリーヌ・ボネール、マーシャ・メリル、ステファーヌ・フレス、ヨランド・モロー、パトリック・レプシンスキ、マルト・ジャルニアス
【あらすじ】
ある寒い冬の朝。フランスの片田舎の畑で凍死している女性が発見される。
モナ(サンドリーヌ・ボネール)という名の18歳の女性だ。警察は彼女を、自然死として扱おうとするが…。
モナは、どのような経緯で亡くなってしまったのか?
【注目ポイント】
本作品は、生涯現役を貫いて90歳で亡くなったフランスの女性監督アニエス・ヴァルダの最高傑作だ。
物語は、モナに出会った人々の証言を元に、彼女が亡くなる数週間前の足跡をドキュメンタリータッチでたどる。
寝袋とリュックだけでヒッチハイクで放浪する彼女は、その日暮らしを繰り返す毎日。同じヒッチハイクの男性とともに過ごしたり、お屋敷で過ごしたり。
牧場で生計を立てる夫婦に、「長生きしたければ旅をやめるように」と言われても、我関せずだ。
彼女のことを気にかけてくれるランディエ教授(マーシャ・メリル)と出会い、心を動かされる瞬間もあるが、生き方を変えるつもりはない。彼女の唯一の希望は、自由だからだ。
物語のラスト。誰にも頼れなくなって食料と寝る場所を求めて村に救いを求めたモナだったが、ワインの収穫祭で盛り上がる村人たちに追いかけられ、恐怖で逃げ出す。
そして、行き着いた何もない畑で彼女は、寒さに震えつつ凍死してしまうのだ。
物語は悲劇で終わってしまうが、形はどうであれ、自由を追い求めて生きるモナの姿は、今を生きる女性にこそ訴えかけるものがあるのだろう。
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