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登場人物が次々と闇落ち…三谷幸喜が手掛けた大河ドラマの中でもNo.1の傑作

『鎌倉殿の13人』

小栗旬
小栗旬【Getty Images】

放送期間:2022年1月9日~12月18日
放送時間:日曜20:00~20:45
放送局:NHK総合
キャスト:小栗旬、小池栄子、坂東彌十郎、野添義弘、栗原英雄、小林隆、佐藤二朗、大野泰広、佐藤B作、横田栄司、中村獅童、市原隼人、川島潤哉、大泉洋

【作品内容】

 NHK大河ドラマ第61作。鎌倉幕府の二代執権となった北条義時(小栗旬)を主人公に平安末期から鎌倉初期を描いた作品。源頼朝(大泉洋)の死後、頼朝の天下取りを支えた家臣団13人が激しい内部抗争を繰り広げる…。

【注目ポイント】

 三谷幸喜は『新選組!!』(2004)、『真田丸』(2016)、『鎌倉殿の13人』と、三度も大河ドラマ脚本を手掛けており、いずれも高い評価を得ているが、やはり2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のパンチはすさまじかった。

 三谷幸喜は放送前、「めちゃめちゃダーク。こんなダークな主人公が日曜の夜8時にいていいのか心配なくらい。そんな男の人生を明るく楽しく描くのが僕の使命」と語っていたが、「明るく楽しく」の部分が、回を追うごとに減り、オセロの白が黒になるかの如く残酷に変わっていった。

 死ななくていい人が死に、飛ばなくていい首が飛ぶ――。ショッキングなシーンが多く、私は何度、飲んでいるビールを噴水の如く吹いたことだろう。

 素朴な伊豆の武士だった義時が、どんどん人相も性格も悪くなっていく様は見ごたえがあった。演じる小栗旬は、ストレスがすごかったらしいが、それが観る側にも伝わり、回を追うごとに評価を上げた。

 サイコパスな源義経を、白い歯に狂気を乗せ演じた菅田将暉も出色。名優たちを巧みに配し、シェイクスピアや映画『ゴッドファーザー』(1972)をモチーフに、どんどん闇落ちしていく鎌倉を描いていった三谷幸喜。「ここは鎌倉」という一言を絶望の合言葉にした、傑作中の傑作である。

(文・田中稲)

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