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前代未聞!? 一切サメが出てこない哲学的サメ映画

『インビシブル・シャーク』(2023)

©中山奈々恵

写真:NANA

――続いてご紹介いただくのは、サメが出てこないサメ映画『インビシブル・シャーク』です。一番ぼく脳さんらしいセレクションですが、この作品とはどのように出会ったのでしょうか。

「同じ監督の作品で、『ノー・シャーク』(2022)という作品があるんですが、先にそれを見て、心を奪われました。ただ、分かりやすさや面白さで、『インビシブル・シャーク』の方を挙げました」

――低予算のサメ映画って、砂の中をサメが泳ぐ『ビーチ・シャーク』(2011)や、幽霊になって人間を襲う『ゴースト・シャーク』(2013)、家の中にサメが出る『ハウスシャーク』(2017)と、本当にさまざまなラインナップがあるのですが、「サメがいない」というのは、行きつくところまで行きついた感があります(笑)。

「そうですね(笑)。例えば、作中には、『No Shark is Shark(サメじゃないからサメなんだ)』っていうめちゃくちゃな言葉が出てきます。ぼくはこういう禅問答的な言葉が本当に好きなんですよね」

――ぼく脳さんは以前、BALENCIAGA(バレンシアガ)とのコラボ作品として、GUCCI(グッチ)のバッグに『This Is Not a Gucci Bag』と書いたバッグを発表していましたが、言葉で端的にコンセプトを表現するという点はぼく脳さんの作品にも共通していますね。ちなみに、印象的なシーンはありますか?

「人がサメに襲われるシーンですね。サメが見えないから、とにかく緊迫感がないんですよ(笑)。しかもバッグで変な軽い音楽が流れているっていう(笑)。

あと、セリフの言い回しが結構哲学的で面白いですね。例えば、主人公がちょっと情緒不安定なんですが、『透明なサメを私は見ました』って真顔で言うんですよ。そもそも透明なものをどうやって見るんだ、っていう(笑)」

――それはかなり衝撃的ですね(笑)

「宗教とか信仰の話なのかな、って思ってたら、最後に政府が攻撃するんですよ(笑)。で、「透明ザメは駆除しました」って発表するんだけど、透明だから、そもそも死んだかどうかわからないっていう(笑)。でも、自分が映画を作るとすれば、こういう作品を作りたいですよね」

――ちなみにぼく脳さんは、noteに「おばけは死後の世界をネタバレしないから偉い」という文章を書かれていましたが、幽霊的なモノに興味はあるんでしょうか。

「興味は特にないですね。ただ、ずるいと思います(笑)。だって、アイツらだけこの世とあの世を行ったり来たりできるじゃないですか。『インビシブル・シャーク』に登場する透明ザメも、あの世とこの世のバグで登場したらしいんですが、その点は、すごくうらやましいですね」

――ご自身も幽霊になったらあの世に行ってみたいですか?

「1週間くらい行ってみたいですね(笑)。ただ、幽霊部員的な存在には既になっているかもしれないですけど(笑)」

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