誠実さが滲み出る…
センセーショナルなテーマを繊細に表現
細田佳央太『あの子の子ども』(カンテレ、フジテレビ系)
細田佳央太 ドラマ『あの子の子ども』公式インスタグラムより
蒼井まもるの同名マンガを映像化した『あの子の子ども』。福(さち・桜田ひより)は、幼馴染の宝(細田佳央太)と恋人関係となり、楽しい高校生活を送っていた。ところがある日、避妊に失敗。アフターピルをもらおうと産婦人科を訪れるも、親や学校に知られたらとの恐怖心から、受診のタイミングを逃してしまう…。高校生の妊娠というセンセーショナルなテーマを描いた話題作だ。
細田佳央太が演じる宝は、とにかく優しい。妊娠したかもしれないと動揺する福を安心させるために率先して動くし、自分がなんとかする、という姿勢を崩さない。字面だけを見ると、こんなに相手を思いやれる高校生はいないだろうとツッコミを入れたくなる人もいるかもしれない。だが、宝の言動は決して上っ面だけのものではなく、本当に福を思っていることが伝わってくる。細田の誠実さが滲み出ているようだ。
テーマがテーマだけに、役作りには相当気を配ったことだろう。それでも、細田佳央太と桜田ひよりが繊細に作り出す世界には、愛情と緊張と戸惑いが生々しく映し出されている。
ちなみに、今作には福の同級生で明るく憎めない飯田役を好演している河野純喜や、不思議ちゃんなのにたまに核心を突く福の兄を演じる野村康太(「『夫の家庭を壊すまで』(テレビ東京系)にも出演中)など、俳優として今後が楽しみな若手が出演している。細田はもちろん、彼らにもぜひ注目してほしい。