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目を惹かれる不思議な吸引力…。ふじき作品との相性抜群

森川葵

森川葵

森川葵【Getty Images】

 次の候補に挙げたいのは、森川葵。今回挙げた5人の中では、最もヒロインに選ばれる可能性が高いように思える。というのも、森川は『ばけばけ』で脚本を担当するふじきみつ彦が、過去に手がけた『褒めるひと褒められるひと』(2023,NHK総合)で主人公を演じているからだ。

 ふじいは、お笑いコンビ・阿佐ヶ谷姉妹のエッセイを原作に40代独身女芸人の二人による何気ない日々の暮らしを綴った『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(2021、NHK総合)、センスは抜群だけど、恋愛は不器用で全くモテない中年男の悲哀を描いた『デザイナー渋井直人の休日』(2019、テレビ東京系)など、派手ではないが、くすりと笑えて心が温まる日常系の作品を得意とする。

『褒めるひと褒められるひと』も同様に、おもちゃ会社を舞台に、森川演じる総務部の女性が先輩社員から褒められる日々を描いたほんわかお仕事ドラマだった。

 同作を観て感じたのは、ふじき作品と森川の相性の良さだ。森川も派手さはないかもしれないが、自然体の演技なのに目を惹かれる不思議な吸引力がある。『ばけばけ』に関しても、ふじきは「何も起きない物語」とコメントしており、主人公のモデルであるセツも何か特別なことを成し遂げた人物ではない。だが、森川には大きなドラマが起きない物語も背負えるだけの器がある。

 また、『褒めるひと褒められるひと』は夜ドラ枠で放送された1話15分の作品であるため、森川は朝ドラの撮影スタイルにも順応できるだろう。

 さらには同作が俳優デビュー作となったは歌手の川崎鷹也を安定感のある芝居で彼を支えていたことからも、『マッサン』で朝ドラ史上初となる外国人ヒロインを演じたシャーロット・ケイト・フォックスのように、今回もほぼ無名の役者が外国人の夫役に選ばれたとするなら森川が適任なのではないだろうか。

(文・苫とり子)

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