さりげない描写で9.11同時多発テロを予見?
『マトリックス』(1999)
製作国:アメリカ
上映時間:136分
監督:ウォシャウスキー兄弟
脚本:ラリー・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー
出演者:キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー=アン・モス、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジョー・パントリアーノ、グロリア・フォスター
【作品内容】
ニューヨークのある企業で、コンピュータープログラマーとして働くネオ(キアヌ・リーブス)は、凄腕ハッカーとしての顔を持つ。
常に夢の中にいるような気分に苛まれている彼は、自宅のコンピューター画面にある不思議なメッセージが送られていることに気づく。
「マトリックスが見ている…。」
【注目ポイント】
ウォシャウスキー姉妹が1999年に制作した『マトリックス』シリーズの記念すべき第1作目。本作は、2024年現在、発展が目覚ましい、VRの仮想現実空間を予見している。
主人公のネオがコンピューターによって作り出された仮想空間の中で、戦いを繰り広げる様子はそっくりそのままVRゲームを思わせる。とはいえ、戦闘でフィジカルにダメージを負うという点はゲームの世界とは異なる。今後、VRにまつわるテクノロジーはますます発展していくに違いない。が、戦争や洗脳といったおぞましい用途で悪用される事態だけは、絶対に避けなければならない。
VR時代の到来を予告している本作だが、とあるシーンで一瞬だけ映る主人公のパスポートの有効期限が2001年9月11日であることから「9.11同時多発テロを予見していたのでは?」という声も絶えない。
ちなみに物語中盤では、ヘリコプターが高層ビルに衝突し、ビルごと爆発するシーンがある。主人公のパスポートと現実の不思議な符号を知った上でこのシーンを観ると、何とも言えない気持ちにさせられる。
優れたSF作品は時に現実の出来事を予見する。本作も例外ではないだろう。