妻夫木聡、鈴木京香、戸田恵子…三谷映画常連の名優
もう1人、特筆すべきは妻夫木聡だ。三谷幸喜作品での妻夫木は、無垢な少年のようだ。『ザ・マジックアワー』のツメが甘すぎる備後役。『清須会議』(2013)の、バカ殿・織田信雄役。
特に『清須会議』の信雄は、これまでイケメンに見えていた彼の天真爛漫な笑顔にこんな活用法があったかと目からウロコであった。
「あはははー!」とちょんまげを揺らし笑う彼が面白過ぎて、登場するたび、映画の座席から腰を浮いたものである。今一度、三谷映画で、あの笑顔暴走野郎な妻夫木を見たい。
そして、やはり三谷作品といえばこの人、全作品に出演中の梶原善だ。持ち前の「たくらみ顔」がどう活用されるのか。揺るぎない楽しみである。
常連陣は、女優も超豪華だ。深津絵里は、『ザ・マジックアワー』では妖艶、『ステキな金縛り』(2011)では地味キュートで魅了した。
『ステキな金縛り』はもう1人、『101匹わんちゃん大行列』(1962)のクルエラさながらにヒールを演じていた竹内結子のコメディエンヌぶりにも心奪われた。
鈴木京香は、三谷幸喜からの信頼が最も熱い1人。『ラヂオの時間』のみやこさんと、『清須会議』のお市は同一人物とは思えない、まさに七変化だ。三谷監督は彼女のお市役を「凄みのある美しさまで行けた」と大絶賛していた。
そして三谷映画はこの人がいなければ! の戸田恵子。プロ意識の強いキャリアウーマンをさせれば右に出るものはない。