名だたる俳優が認める役作りのアプローチ
ロバート・デ・ニーロ
ロバート・デ・ニーロ【Getty Images】
存命する世界最高の俳優の1人であるロバート・デ・ニーロ。約60年にも渡るキャリアを誇る彼は、丹念な役作りをすることで有名である。俳優界では、ロバート・デ・ニーロのように極端な役作りを行うことを「デニーロ・アプローチ」と呼ぶ。
「デニーロアプローチ」という呼称が生まれるきっかけとなった映画がいくつかある。その1つは、1976年に公開された『タクシー・ドライバー』だ。この作品で、ベトナム戦争の帰還兵であり、精神を荒廃させたタクシーの運転手を演じることになったロバート・デ・ニーロは、実際のタクシーの運転手として働くという、当時としては斬新なアプローチで役づくりを敢行した。
さらには、映画『アンタッチャブル』で彼は、実在した麻薬王アル・カポネの役を演じるにあたり、本人のルックスに合わせて前髪を抜いて臨んだ。
近年のロバート・デ・ニーロといえば、映画『マイ・インターン』(2015)のような少しふっくらした優しいおじさんの印象が強い。しかし、1970年代〜90年代の彼の代表作、たとえば『ゴッドファーザー PART II』(1974)や『レイジング・ブル』(1980)『レナードの朝』(1991)などを観れば、あまりの偉大さに震え上がること請け合いだろう。