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最終話まで幸せになれなかった『中学聖日記』とキーマン・岡田惠和

有村架純【Getty Images】

 有村架純の出演作で“しんどさ”が目立った作品を、いくつか振り返ってみる。

 まずは2016年放送『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)の杉原音役。母子家庭で育ち、幼い頃に母を亡くし、育ての親のヤングケアラーに。東京で介護福祉士の仕事を始めるも、長時間労働を強いられる音。加えてトラブル続きで恋愛もうまくいかない。なかなか笑顔の見えない役を23歳にして、手中にしていた。

 2018年は『中学聖日記』(TBS系)で中学生教師・末永聖に。結婚を控えて、公私ともども好調だったはずなのに、生徒と恋に落ちてしまう。住んでいた街を追われて、また教師をはじめても「生徒と恋愛関係」という事実がどこまでもつきまとう聖。ちょうど朝ドラ『ひよっこ』(2017、NHK総合)を終えてから、初めてのドラマ出演とあって注目度も高かった作品。最終話まで幸せになれず、全11話、しんどかった。そして主題歌のUru『プロローグ』もしんどさをさらに増量させる。

 たまたま映画とドラマ版を観た『そして、生きる』(WOWOW、2019年)で演じた、生田瞳子は両親を亡くして、叔父に育てられ、ボランティアで出会った青年と結ばれるも、彼は海外へ。瞳子は彼の子どもを妊娠。一時はテロに巻き込まれたかもしれないと心配した彼は、帰国すると瞳子の友人と恋人同士になるという、ドラマによくある修羅場へ。それでもシングルマザーとして強く生きることに。

 この作品の設定でもある「大事な人を亡くしている」パターンは、前述の杉原音役も同じく、非常に目立つ。その背景にいるのが、脚本家の岡田惠和だ。

 彼は『そして、生きる』から有村主演で脚本を執筆しているが、彼女が薄幸そうな役が似合うことに気付いたのか、2020年放送の『姉ちゃんの恋人』(フジテレビ系)でも、両親を事故で亡くして弟3人を育てる安達桃子を描いている。さすがの審美眼だ。

 続けて今年の11月配信予定の『さよならのつづき』(Netflix)でも脚本を担当する岡田。有村演じる主人公のさえ子は、恋人を事故で亡くすところから始まるらしい……。もう書いていても辛い。可哀想すぎて、有村を真正面から見られないような気さえしてきた。

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