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ホアキン・フェニックスに肩を並べる存在に

山田孝之

山田孝之

山田孝之【Getty Images】

 役者としてのずば抜けた実力はもちろん、経験と理論に裏打ちされた「俳優論」の優れた語り部でもある山田孝之。芸能界広しと言えども、俳優業への愛の深さにかけては、右に出る者はいない。

 ジャック・ニコルソン(『バットマン』)、ヒース・レジャー(『ダークナイト』)、ジャレッド・レト(『スーサイド・スクワッド』)、そしてホアキン・フェニックス…。これまで本国アメリカでジョーカーを演じた役者は、どれも名優ぞろい。見方を変えれば、志の高い俳優であれば誰もが一度は挑戦したいと思うような役柄である。業界随一の俳優業への愛の強さを誇る山田にとって、これ以上に腕が鳴る題材はないだろう。

 これまで『その夜の侍』(2012)『闇金ウシジマくん』シリーズ(2012~)と、心に闇を抱えたキャラクターに命を吹き込んできた山田。とはいえ、ジョーカーは単なるサイコパスではなく、心の中では葛藤が渦巻いている。顔は笑っているのに、心は泣いている。山田であれば、心身の引き裂かれを、観る者をアッと言わせるようなアプローチで見せてくれることだろう。

 もし日本版『ジョーカー』が制作されたならば、観客は、歴代ジョーカーの演技と日本版を比べずにいることは難しいだろう。その時、アメリカの観客の脳裏には、ヒース・レジャーやホアキン・フェニックスと並ぶ、規格外の実力を誇る一人の日本人俳優の名前が刻まれるはずだ。

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