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“音楽が泣ける映画”、最高傑作は? 心震える名作洋画5選。主題歌が流れるだけで涙腺がゆるむ…珠玉の作品をセレクト

text by シモ

映画がトーキーになってから、音楽は映画に不可欠な要素のひとつとなった。優れた映画音楽は、観客を感動の世界へ誘うだけでなく、名場面を思い出させるよすがとして観客の心の中に永遠に残り続ける。今回は、そんな聴くだけで魂が揺さぶられる音楽が登場する映画5本をセレクト。その魅力を徹底解説する。(文・シモ(下嶋恵樹))

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【著者プロフィール:シモ(下嶋恵樹)】

東京都出身。横浜市在住。転職5回のサラリーマン生活を経て、フリーランスのライターに。地域情報サイトでの取材記事や映画サイトでの映画紹介記事、ビジネス系記事など、さまざまな執筆の経験あり。現在は、インタビュー記事などにも挑戦中。映画は幅広い国の映画を鑑賞。好きな映画は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『イル・ポスティーノ』、『パリ・テキサス』。

名匠エンニオ・モリコーネの音楽に涙腺崩壊

『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)

サルバトーレ・カシオ(左)とフィリップ・ノワレ(右)(第42回 カンヌ国際映画祭より)
サルバトーレ・カシオ(左)とフィリップ・ノワレ(右)(第42回 カンヌ国際映画祭より)【Getty Images】

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ
出演者:フィリップ・ノワレ、ジャック・ペラン、サルヴァトーレ・カシオ、マルコ・レオナルディ、アニェーゼ・ナーノ

【作品内容】

ローマ在住の映画監督サルヴァトーレ(ジャック・ペラン)のもとに、母から一本の電話が入る。

それは、幼い頃に世話になった映写技師アルフレード(フィリップ・ノワレ)の訃報だった。

サルヴァトーレは、かつて少年時代に、”大きい友だち”と過ごしたパラダイス座での友情の日々を回想する…。

【注目ポイント】

 映画賛歌、ひいては人生賛歌として、映画史上に燦然と輝く名画となった『ニュー・シネマ・パラダイス』。本作は、公開されるや否や世界中の映画ファンの心をわしづかみにし、国内でもヒットを記録した。

 そんな本作の音楽といえば、名匠エンニオ・モリコーネが手がけるオープニング曲の「ニュー・シネマ・パラダイス」とエンディング曲の「愛のテーマ」は外せない。

 まずはオープニング曲の「ニュー・シネマ・パラダイス」から。弦楽器の雄大な音色が印象的なこの曲は、波のようなメロディで、サルヴァトーレの家から見える地中海の風景からアルフレードの訃報、そしてパラダイス座でのかつての日々と、重層的な時間を緩やかに繋いでいく。この曲を聞くだけで涙腺が崩壊する方も多いことだろう。

 なお、この曲、30年ぶりに帰郷したサルヴァトーレがアルフレードの棺を運ぶシーンでも使われている。6年前に閉館してしまった崩壊寸前のパラダイス座を見て、悲しい表情を浮かべるサルヴァトーレ。そこには、彼が少年時代や青年時代を過ごした“かつての大人たち”が数人いるが、みんなしっかり老け込んでしまっている。この曲の緩やかなメロディは、抗うことができない時間への諦念すら表現しているのだ。

 そして、もう一曲忘れられないのが、「愛のテーマ」だ。この曲は、本作のラストでアルフレードがサルバトーレの形見のフィルムを映写室で鑑賞するシーンで使われる。

 サルバトーレが遺したフィルム―。それは、古今東西の映画から、キスシーンだけを抜き出して編集したフィルムだった。しかし、この映画のフィルムは、単に男女の愛情表現を表現しているわけではない。サルヴァトーレはフィルムにアルフレードと過ごした映写室の記憶やアルフレードといろんな話をした日々を重ね合わせ、自身の頭の中に投影しているのだ。

 人生は映画のように、映画は人生のように―。そんな言葉が頭に浮かぶ、映画史上の名作だ。

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