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物悲しいピアノの旋律に涙が止まらない

『レナードの朝』(1990)

俳優のロバート・デ・ニーロ
ロバート・デ・ニーロ【Getty Images】

監督:ペニー・マーシャル
脚本:スティーヴン・ザイリアン
出演者:ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ

【作品内容】

ニューヨーク・ブロンクスの慢性神経病患者専門病院に赴任したセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)は、動けない患者に反射神経が残っていることを発見。治療に尽力していた。

 そんな中、ずっと眠り続けていた慢性神経病患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)に新薬を投薬したところ、30年ぶりに目を覚まして…。

【注目ポイント】

 神経学者オリバー・サックスの同名小説を原作に、名優ロビン・ウィリアムズとロバート・デ・ニーロが医師と患者を熱演した『レナードの朝』。そんな本作に登場する胸を打つ曲は、アメリカのシンガーソングライター、ランディ・ニューマンが演奏する「Dexter’s Tune」だ。

 新薬の投与により、30年ぶりに目を覚ましたレナードは、父の看病にやってきた女性に淡い恋心を抱き、1人で外出をしようとする。しかし、経過観察をしたい医師たちは、彼の外出に真っ向から反対する。

 そんな中、レナードの病状は再び悪化し、痙攣が止まらなくなる。そして、意を決したレナードは、ポーラとの食事の最中、「会うのはこれきりに…」と言い、「これでさよならだ」と別れを告げて彼女の手を強く握る。

 と、ポーラは、レナードの手を握ったまま彼を抱擁し、ダンスをはじめる。すると、レナードの身体の痙攣がたちどころに治まり、表情がおだやかになっていく。

 自身の運命に抗えない無力感とレナードを包み込むポールの愛、そして、彼らに優しく寄り添うピアノの旋律―。あまりの美しさと切なさに、観るたびに涙が止まらなくなる。

 しかし、悲しみの渦中にいるのは2人だけではない。

「一度命を与えてまた奪うのが親切なことかい?」

 2人の窓越しの永遠の別れを見届けたセイヤー医師は、看護師のエレノアにそう語る。自身の行いは本当に正しかったのか自問自答するセイヤ―医師もまた、行き場のない悲嘆を抱え込んでいたのだ。

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