男性社会に苦しむ男性にも焦点を当てた名シーン
第4週 謝罪する花岡を諭す梅子
寅子たちとともにハイキングに出かけて口論となり、怪我で入院してしまった花岡(岩田剛典)。きっかけとなったのは、花岡が梅子(平岩紙)に放った心ない言葉だった。
退院の日、花岡は梅子に非礼を詫びる。そして、自身の苦しい胸の内を吐露するのだった。男性社会のなかで舐められないように、男性はこうあるべきというテンプレートを踏襲してしまっていた花岡。
だが、彼は「こんな人間になりたくない」し、「どれも本当の自分じゃない」と梅子にこぼす。
それを聞いていた梅子は、「持っている顔はひとつじゃない」「全部花岡」なのだとしたうえで、「本当の自分に近づけるように」と励ます。
花岡がこの局面でしっかり謝罪の言葉を伝えられることと自己理解が深いことに舌を巻くとともに、梅子の懐の深さが視聴者の涙を誘った。そして、いわゆる男性社会の生きづらさにも言及する点もとてもよかった。
きっと口にはせずとも花岡のような感情を抱いていた人はいるはずで、彼らにとっては深く共感できる場面だったことだろう。