どんな色にも染まる“純度の高さ”
主演映画最新作となる『チャチャ』で伊藤が演じるのは、映画タイトルにもなっているイラストレーターのチャチャ。“人目を気にせず、好きなように生きる”をモットーに自由気ままな日々を送る野良猫系女子で、ふわふわとしたつかみどころのないチャチャのキャラクターが、伊藤のアーティスティックな魅力と相まって非常に魅力的に映っているので注目したい。
会社が入ったビルの屋上で偶然樂(中川大志)と出逢ったチャチャ。次第に樂に惹かれていく彼女に、予想だにしない展開が待ち受け…。チャチャの予測不能な行動も観る者をハラハラドキドキさせ、図らずも映画に没入させられるはず。
本作では主題歌「おはようの唄」も歌唱するなど、乃木坂46時代からのファンもうれしいところ。そして『美しい彼』シリーズや、映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』や『恋を知らない僕たちは』などを手掛けた酒井麻衣監督の色彩豊かな映画の世界観にも、マッチしている。
まっさらなキャンバスにさまざまな色で描かれる絵画のように、作品の“色”に彩られながら凛とした存在感を放つ伊藤万理華。
そんな彼女の演技に目を奪われてしまうのは、表現者としてどんな色にも染まることができる“純度の高さ”といえるのではないだろうか。映画『チャチャ』を通して、改めて伊藤万理華の魅力に浸ってほしい。
(文・小松加奈)
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