「主人公(目黒蓮)の行動原理が分かりにくい」
登場人物の評価が真っ二つに分かれた理由とは?
―――登場人物への賛否が割れたというところに関してはいかがでしょうか?
苫「主人公・夏(目黒蓮)の行動原理が分かりにくいとは感じました。1話の時点で、自分の気持ちをはっきり表明できないキャラクターであることは明示されていましたが、水季(古川琴音)への想いがまだあるのか、それとも、水季に寄り添えなかった罪悪感みたいなものから海(泉谷星奈)に寄り添っているのか。そんなところがよく分からないまま終わってしまったと、個人的に惜しいと感じたポイントです」
あまの「登場人物の誰に共感するのかによって、賛否が分かれるかと思います。夏の優柔不断さは、ああいう人は現実にいるだろうなと想像できるので、私はむしろリアルだと感じました。苫さんが仰ったように、夏の選択の意味は、はっきりとは描かれていませんでした。視聴者に委ねられた部分も大きいと思います」
まっつ「村瀬さんが、他メディアの取材で『どこにでもいるような人を目黒さんにやってもらうという意図があった』とお話されていたので、夏の優柔不断なところはむしろプラスに働いていると思います。それがネットの議論を呼ぶ要因にもなっていますから。
僕自身、『なんで2人で暮らすことにこだわるの? 自分の実家に帰っても良いのでは?』とか、『水季のことそんなに好きだったの? 弥生の方が魅力的じゃないか?』なんて、考えながら観ていましたし。
感情移入という点では、僕は津野(池松壮亮)に共感しました。最初は嫌な奴に見えていましたが、特別編で彼の背景が描かれたことで、理解が深まりましたし、津野が辛い時や嬉しい時に、一緒に感情が動いた気がします」
苫「ただ、夏が不憫だという意見も多かったと思います。津野や朱音(大竹しのぶ)からの言葉が厳しいと。その不憫さも、夏の行動理由がはっきりとは見えにくいことで、余計に巻き込まれているようにも見えてしまうから、見る人によって意見が割れるのでは、と思いました」
あまの「演じている目黒蓮さんの支持が高い分、夏の目線に立ってドラマを見ていた人が多いのかもしれません。ただ、私個人は、夏が不憫だとはあまり感じませんでした。自分が相手の立場になったら、ああいう言葉を言ってしまうのも理解できますから」
―――水季についてはいかがでしょうか?
あまの「私は割と好きなキャラクターです。彼女の行動は、100%正しいとは言えないとは思いますが、夏の将来を守りたいと思ってやったことですし、当時の年齢を考えたら、致し方ない部分もあると思うんです。終盤、夏と弥生に手紙を残していたことで、また世間評が割れた印象ですが、これに関しては、父親になる可能性を夏に残したかったという気持ちの部分は理解できますが、繋げる方法が雑だったというのは否めないかな」
苫「水季の行動は、疑問を持つところも多少ありました。産むのは勿論、水季ですから、産むか産まないかを決めるのは水季を第1にして決めるべきことだと思います。ただ、夏にも父親になる権利があったわけですから、見方によってはその選択肢を奪ってしまったとも言える。
もし、夏があからさまに産んで欲しくなさそうな態度に出ていたならまだしも、夏は寄り添おうとしていた様子だったので、選択肢を取られてしまったことは、可哀想に感じる気持ちもあります」
まっつ「あまのさん同様、やり方の問題はあったけど、気持ちの面では理解できます。ただ、水季がもし同じ世界に生きて近くにいる存在だったら、結構しんどいんじゃないかと思いますね」
あまの「でも、水季が周りを振り回すタイプの人だから、夏と相性が良かったんだろうとも思うんですよ」
苫「水季も弥生も、全然違うようで、意外と本質が近いから、夏の好みが一貫しているのを感じますよね。Tverで配信しているスピンオフを観ると、2人が似ているところがより分かります。本編の補完として、とても良い内容だと思います」