「『あの子の子ども』の方がむしろ正解例」
―――作品そのものに対して、気になった部分をお聞きしても良いですか。
苫「今回、ステップファミリーを描いた作品が多かった中で、『海の始まり』は、最後は周囲のみんなで見守っていくという話ではあったけど、血のつながりに落ち着いたという意味では、保守的な結末に見えます。それが生方さんにとってどういう意図だったのかが気になるところです。逆に、全く血の繋がらない人だったらどうするのか、津野が主人公のパターンもぜひ見てみたいです」
―――脚本の生方さんは「がん検診に行ってほしい」「避妊具の避妊率は100%ではない」ということ明確に伝えたいと、ご自身の連載で発言されていました。作品のテーマについてはどう受け取られましたか?
苫「避妊をしていても妊娠するというテーマに関していうならば、『あの子の子ども』(カンテレ・フジテレビ系)の方がむしろ正解例を出したと思っています」
あまの「確かに、そのテーマで丁寧に分かりやすく明確に、より教材的に描いたのが『あの子のこども』だったと思います。妊娠したことについて相手との対話がしっかり描かれていましたし、結果的に『海のはじまり』で足りないなと感じた部分を補完したような面もありました」
まっつ「当初のテーマとの齟齬が生まれているところはあったかもしれません。だけど、それが作品の質を下げているかというとそんなことは全く無いです。『海のはじまり』は間違いなく傑作として語り継がれるべき作品ですし、元助産師である生方さんにしか書けない作品だと思います」
(文・編集部)
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