『団地のふたり』に救われた…稀有な名作になった3つの理由とは? 「真似できる」と思わせてくれることの尊さ。魅力を徹底解説
text by 小林久乃
藤野千夜による同名小説を原作にしたドラマ『団地のふたり』が、11月3日(日)に最終回を迎える。小泉今日子と小林聡美が共演を果たし、放送枠がNHK BSプレミアムでありながら、幅広い層の視聴者から人気を博している。そんな同作が名作になった理由を3つのポイントから解説する。(文・小林久乃)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:小林久乃】
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーション業などを生業とする、正々堂々の独身。最新情報は こちら
“ものすごく”ではなく、“普通”であること
ドラマ『団地のふたり』(NHK BS)が最終回を迎えようとしている。連続ドラマの醍醐味である「次週の放送が待ち遠しい」という気持ちを覚えさせてくれた、秋ドラマの人気作だった。
太田野枝こと、ノエチ(小泉)も、桜井奈津子こと、なっちゃん(小林)は保育園からの幼なじみ。相手のことは言葉にせずとも何でも分かるし、ずっと一緒にいても違和感はなし。おそらく親戚よりも関係性の濃度は高い。ふたりは同じ団地で育ち、人生のライフイベントで一度は離れ、50代の現在、また団地で生活をしている。“ものすごく”ではなく、“普通”に楽しそうな雰囲気が良かった。
女性を中心に人気が高く、早くもロスが出るだろうと予想されている 『団地のふたり』。このドラマで私たちが得られたものは何だったのだろうか。