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ちょっと会話を入れるだけで、世界は広がる

『団地のふたり』最終話 ©NHK
『団地のふたり』最終話 ©NHK

 全10話に理想として通底していたシーンが「ご近所コミュニケーションの大切さ」。

『団地のふたり』の舞台は、基本的に団地内。ここで日々起こるプチ事件を(高齢住人から見ると)若いふたりが、毎度解決していくのがドラマの軸だ。

 高齢者たちの相手をするのは、もうドラマの定番。団地の近所の喫茶店で「ホットケーキをご馳走するから」と、ひたすら終わりなき話を聞かされるふたり。何か事件が起きるとすぐに自宅のチャイムが鳴るなっちゃん。これも良きコミュニケーション。

 でもこれを自分たちができているかといえば、人間関係が希薄な都会では通用しない。田舎でも昔のようなあたたかさ…と書いて“お節介”は消えていると聞く。余分なことは言わず、触らず。トラブルの起きないように生きていくことが、スタンダードになった。

 それでいいのか? と思う。東日本大震災でも日本が賞賛されたのは、近所付き合いによる避難所での助け合いだったといまだに語り継がれている。これが東京で起きたらどうだろう。自分のコミュニケーションを一度、見直したほうがいいかもしれない。
 
ちなみに私。田舎者の精神をフル発揮して、『サザエさん』のごとく周辺にはご近所づきあいがある。飲み屋に八百屋に魚屋に花屋。ちょっと会話を入れるだけで、世界は広がるので試してほしい。ただ近所をどスッピンで闊歩するのは夜中にならないと、できなくなること、お忘れなく。

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