「斬新な発想とリアルで重いテーマが結びついている」
斬新なアイデアが目を引く和製SF映画
『ブルークリスマス』(1978)
―――監督・岡本喜八、脚本・倉本總による、日本映画史に残る怪作ですね。
「倉本總さんは数多くの名作を生み出していいますが、本作はかなりの異色作。地球にUFOが到来するのですが、UFO自体は一度も出てこない。ニュースの報道や政府関係者のコメントで、UFOの存在が表現されるんです。まず、そのアイディアが面白いなと」
―――主題をあえて見せない演出に心を奪われたわけですね。
「宇宙人とコンタクトをとった人間は、血が青くなるという設定なんです。自分とは異質の他者に対する恐れを、そういった形で描いていることの上手さに惹かれました。また、テーマ性も鋭くて唸ります。現実社会では、人種や思想の違いなどによって軋轢が絶えないわけですが、そうした状況をUFOや宇宙人のような存在を直接見せずに、巧妙に表現しているわけです。UFOが出て来る映画=SF映画という固定概念を崩した映画だと思います」
―――深いですね。
「UFOそれ自体を描きたいわけではなく、異質な他者の介入によって社会・人間が振り回される様を描きたいんだなと。斬新な発想とリアルで重いテーマが無理なく結びついている、素晴らしい作品だと思います」
―――印象的なシーンはありますか?
「主人公が恋仲になった女性とホテルに行って結ばれる際に、彼女の血を見てしまい、その色が青かったというシーンですね。『自分だったらどういう反応をするだろうか?』ということを考えさせられました」